煙草

僕は気がついたらまた火をつけている。

真っ赤に燃えた先は小さくジリジリと鳴り

ポロポロと灰がこぼれ落ちる。

今日はとても天気が良い。月夜だ。

今日もいつもの喫煙所で

あの子が来るのを待つ。

セブンスターを持ったあの子。

いつも何かを抱えているような疲れた顔で

いつもお母さんと電話越しに喧嘩している

タバコをふかすあの子。

今日も来た。とても疲れてる。

今日こそは、今日こそは、、と思って

ずっと話しかけられずにいる。

せっかく僕もセブンスターを吸い始めたのに。

今日も諦めるかと思って帰ろうとした時

「ライター貸してくれませんか?」

とあの子が言った。正直とてもテンパってしまったが

ライターをぎこちなく渡した。

そして、笑顔で、「ありがとう」と言った。

僕は堪らなくなって2本目に火をつけた。

何気ない会話がそこには広がり

僕はとても幸せな時間を過ごせた。

彼女の携帯が鳴った。

いつも喧嘩している親だろうか?

いつもと彼女の声色が違う。

どうやら彼氏のようだ。

僕の夢は灰のようにポロポロこぼれ落ちていった。

「ライターありがとね!」と言って

笑顔で去っていくあの子とはそれっきり会ってないし

セブンスターもそれ以来吸っていない。

僕にとってのセブンスターは

甘酸っぱい味がしてしまうから。