世界

僕は世界を知らない。 なのに生きている。
地球の反対側で起こっていることなんて勿論のごとく知らないが
なんなら電車で隣に座っている人のことも知らない。





「はぁ、、」

大きくため息をつく人の横に立っていた自分は
いたたまれなくなり、声をかけた。

「どうされたんですか、、そんなため息ついて。」

するとその人は

「世界がどうしても平和にならないんです、、」



不思議な人もいるもんだ。僕には到底理解が追いつかなかった。なぜその人は
今このタイミングでそれを言ったのか。その人にとっての世界はなんなのか。
気になった僕は尋ねた。

「あなたがいう世界とは一体なんですか」

『僕がいう世界はね、自分が生きてる社会のことを言うんだよ。』

世界は社会??頭の中に浮かぶはてなを押し殺せなかった僕は
なんとも言えない表情でその人を見つめる。

『生きている社会が僕らにとっての世界なんだ。だから本当の意味で世界を知ってる人なんて誰もいない。だからどれだけ “世界平和“ を謳ったって、本当の意味での世界平和は達成されない。そんな世界にうんざりしてるんだよ。』




僕はそれを聞いて、その人がまだ、僕の世界に気づけてないと思ったので、
「あぁ、世界って広いんだな」と言ってその人にコーヒーを渡した。


「そんな悲しいこと言わないで、これ飲んで一緒にお互いの世界について話ましょう」




きっと、これが僕にとっての世界平和なんだよな。